hina家族真面目な話 その1 ハチ

 2005年5月22日、我が家の大切な家族である犬のハチが亡くなった。ハチはフィラリアに侵されており、それが発覚したのが1月12日で、それから4ヶ月後の事だった。その間何度か体調が悪化しその都度心配していたのだが、今回は腹水まで溜まっておりほとんど歩けない状態だったので、もう長くはないと思ってはいた。最近も具合が良くなかったのだが、昨日の夜はいつもは寝ている身体を起こし、どこか落ち着かない様子だった。普段、居間より一段下の玄関で生活しているのだが、足の具合が悪いにも関わらず、居間に自力で上がってきていたので、あたしはてっきり気分がいいのだろうと思っていた。しかし、今思えばきっとハチは自分の死期が迫ってきていることが分かっていたのだろう、その日はいつもは嫌がる写真撮影もカメラ目線で写っていた。
 次の日の朝、あたしがハチの様子を見に行くと、ハチは横になっていた。暫く様子を見ながら、何気なく側にあったマンガを読んでいると、ハチがむくっと上体だけ起こした。水かな、そう思いレンゲで水をすくってハチの口に近づけた。しかしハチは飲まなかった。いつもなら飲むか顔を背けるのに、なんとなく様子がおかしく、嫌な予感がした。その後何度か身体を動かそうとしていたので、トイレかなと思ったのだが、立ち上がる気配がなかったので見守っていると、ハチはその場でもよおし、上体を大きく背けた。まるで遠吠えをするような、そういう感じで。あたしが思わず「ハチ!」と叫ぶと、寝ていた家族が「どうしたの」と慌てて起き、駆け寄ってきた。それから間もなくして、ハチは息を引き取った。
ハチが息を引き取るまでの短い間に、あたしたちはハチに感謝の気持ちと「心配しなくていいんだよ」という事、それからハチの事が大好きなんだという事を告げた。
 あたしはハチからいろいろな事を教わった。命の大切さ、家族の大切さ、それから愛情。ハチにはどれだけ感謝の言葉をおくっても足りないような気がする。だから、もっともっと生きて欲しかった。もっともっと一緒にいたかった。あたしはハチが大好きだ。
 暫くしてからあたしたちは家の庭に大きな穴を掘り、ハチのお墓を作った。上には金網と石を乗せ、動物が掘り返さないようにしておいた。それからあたしは木を彫りニスを塗って墓標を作り、それを立てた。
 いつまでも泣くあたしを母が叱った。「泣いたらハチが可哀想だよ」と言った。11年という一生の中、ハチは幸せだったよね?苦しまずに逝けたよね?うちの子に生まれてきてよかったんだよね?あたしの中で、決して答えの返ってこない質問だけが繰り返される。けど、きっと幸せだったと思う。少なくとも、あたしたち家族からたっぷりの愛情が注がれていたという事だけは自信を持って言えるから。

 大好きなハチへ。
おじいちゃんと天国で元気に暮らしていますか?あたしは元気だよ。あと何十年かしたらあたしもそっちに行くから、それまで寂しいかもしれないけど待っていてね。約束だよ。