前彼暴露編 その6 病弱なオトコ

 あたしが付き合ってきたオトコ達は、どういう訳か病弱な奴が多い。その上、自己管理がなっていない。しっかりし過ぎているあたしがそういうオトコを無意識のうちに好み、選んでしまっているのかどうかは分からないが、多分、その手のオトコが寄ってくるのだろう(甚だ迷惑である)。オトコはぐうたらなイキモノだから…。少なくとも、あたしの付き合ってきたオトコ達は。

 風も凍る冬の日、あたしは当時付き合っていた一人暮らしのオトコが「風邪を引いて動けない」というので看病に行った。奴は「ただの風邪だから、病院にも行ったしすぐ良くなるだろうけど、辛かったし会いたくて…」と蚊のなくような声で囁いた。あたしは、当時その彼が大好きだったので、「いいよいいよ、しっかり寝て、早くよくなってね」と、まるで新妻のように奴の世話を焼いた。
そしてあたしは奴が寝るまで手をにぎってやり、夜中にそっと家に帰った(次の日仕事だから)。
 次の日は何ともなかった。…その次の日も。そしてあれから3〜4日後、明らかに体調がおかしいことに気付いた。どう表現したらいいのかは分からないが、その感覚は産まれて初めてのもので、何となく「あたし病気かも」そう思った。…そして、見事寝込んでしまった。病名は、「インフルエンザ」……!そう、あたしはインフルエンザを奴にうつされたのだ…!!
インフルエンザというのはとても恐ろしい病気だ。自慢じゃないが、あたしは自分ひとりでは吐けない。背中をさすってもらってもなかなか吐けない体質なのだ。しかし、そんな事はお構いなしで病魔はあたしの身体を蝕んでいく。高熱と吐き気に襲われ、夜中、あたしはひとり涙で枕を濡らし思う。
「あー…あたしこのまま死ぬのかも…」
大げさだと思われるかもしれないが、あたしはそれまで病気という病気をした事がなく、事実「風邪」以外で熱を出した記憶がないのだ。
それから3日ほど苦しみ、注射の甲斐あってか回復し、いつも通りの生活が送れるようになった。そしてあたしは健康に感謝するようになった。失って始めて気付くとはまさにこのことだ。
 その後奴とはデートを重ね、ある日食事に誘われたので行くと、またゴホゴホとやっているではないか。あたしは恐怖に怯えた。「コイツ、またインフルエンザにかかってるんじゃないだろうな」不審の目を向けると、「ただの風邪だよ、治りかけだよ」奴はそう言った。さすがにあたしも食事もせずに「帰る」とは言えず、2〜3時間奴と過ごしてから帰宅したのだが、…次の日明らかに体調がおかしいことに気付いた。
また…またインフルエンザをうつされてしまったのだ…!!!

 それからあたしは、職場で「インフル女」と呼ばれ、のち2年ほど「病弱」のレッテルを貼られる事になる。
本当はあたしが病弱なんじゃなく、あたしが付き合っていた奴からうつされただけなのに…!!!
病弱なオトコなんか、いっそ死んじまえ!と思う今日この頃である。